税理士サンタの節税ブログ

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【166】父から子へ、母の控除(配偶者控除→扶養控除)を付け替えることはできる?できたなら得??

税理士サンタ🎅です。

本日は、【父から子へ、母の控除を付け替えることはできる?できたなら得??】について、お話しいたします。

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前提

  • 父78歳、母76歳、子25歳の3人家族
  • 両親と子は非同居だが、生計を一としている。
  • 父は年金受給者で、年金の額面は年200万円
  • 母も年金受給者で、年金の額面は年70万円
  • 子はサラリーマン(給与所得者)で、給与の額面は、年500万円(社会保険72万円)
  • 父と母は、生命保険や地震保険などの所得控除はなく、基礎控除の48万円のみ(父は、現状は、母を配偶者控除48万円を適用)
  • 子は、社会保険料控除72万円と基礎控除48万円の、計120万円とする。

今回の検討事項

  • 父は現状では、母を配偶者として、配偶者控除48万円を適用しているが、
  • 所得が子の方が高いため、
  • 父における配偶者控除の適用を辞めて、子において扶養控除の適用に切り替えたいと考えている。
  • なお、今年度の年末調整や確定申告は未だ受けていないこととする。(こちらについては、また別の回で解説します)

父における配偶者控除から、子における扶養控除への付け替えができるのか?

こちらのご家族では、母を子の扶養控除としての適用を考えているので、まずは、扶養控除の要件を確認します。

扶養控除とは

扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられますが、その控除のことをいいます。

扶養親族とは

扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡しまたは出国する場合は、その死亡または出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。

(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで国内に住所および居所を有しないこととなることをいいます。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

今回のご家族は、

  1. 子からすると、母は1親等の血族なので、6親等内の血族に該当します。
  2. 子(納税者)と母は、生計を一にしています。
  3. 母は年金受給者で、年間の年金の額面は70万円なので、公的年金等に係る雑所得の金額は、70万円ー110万円※1=0円≦48万円以下
  4. 子は給与所得者であるため、無視

なので、子において扶養控除の要件は満たしています。そのため、父から子へ、母の控除を変更できます。

つまり、父における配偶者控除の適用から、子における扶養控除の適用に、変更ができます。

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www.nta.go.jp

父における配偶者控除から、子における扶養控除への付け替えをした場合、得なのか?

上記①で、今回のご家族では、母の控除を、父から子へ付け替えることができるということが分かりました。

では、この場合、付け替えた方が得なのでしょうか。得である場合は、いくら得なのでしょうか。以下、検討しますが、その前提として、以下をよく覚えてください。

  • 収入ー経費(控除)=所得(≒税務上の利益)
  • すべての所得の合計=合計所得金額
  • 生命保険料控除や基礎控除、配偶者控除の合計=所得控除
  • 合計所得金額ー所得控除=課税所得(課税される元になる所得)

この課税所得に対して、税金は課税されます。

父の税率

父は年金受給者で、年金の額面は年200万円で、生命保険や地震保険などの所得控除はなく、基礎控除の48万円のみ(父は、現状は、母を配偶者控除48万円を適用)です。

同じ条件で考える必要があるため、配偶者控除の適用は無視します。

では、父の所得は、

  • 年金200万円
  • 公的年金等に係る雑所得=200万円ー110万円=90万円
  • 所得控除=基礎控除48万円
  • 課税所得=90万円ー48万円=42万円  

     

  • 所得税率 5%×1.021=5.105%  No.2260 所得税の税率|国税庁
  • 住民税率10%
  • 父の税率 所得税率5.105%+住民税率10%=15.105%(所得税と住民税での違いがありますが、簡便的に考えます)

子の税率

  • 子はサラリーマン(給与所得者)で、給与の額面は、年500万円(社会保険72万円)
  • 子は、社会保険料控除72万円と基礎控除48万円の、計120万円。
  • 子の給与所得=収入500万円ー(給与所得控除※2  500万円×20%+440,000円)=356万円
  • 子の合計所得金額356万円
  • 子の所得控除120万円
  • 子の課税所得=356万円ー120万円=236万円
  • 子の所得税率 10%×1.021=10.21%
  • 住民税率10%
  • 子の税率 所得税率10.21%+住民税率10%=20.21%

父の税率は、15.105%

子の税率は、20.21%

税率差は、5.105%

です。父より子の方が税率が高いので、母の適用を父から子へ付け替えることで、得しそうですね。

では、最後に、いくら得になるのか見ていきましょう。

父における配偶者控除から、子における扶養控除へ、母を付け替えることで、家族としてはいくら得をするのか??

父から子へ、母の適用と付け替えるため、父は増税になり、子は減税になります。

父の増税金額

父の増税金額=配偶者控除48万円×税率15.105%=+72,504円

子の減税金額

子の減税金額=扶養控除48万円×税率20.21%=▲97,008円

結論

父における配偶者控除から、子における扶養控除へ、母を付け替えた方が、

減税97,008円ー増税72,504円=減税24,504円

つまり、ご家族トータルで考えると、24,504円減税となり、得することになります。

皆様も、一度、扶養控除や配偶者控除について、現状を見た上で、どなたで適用されることが最も得なのか、ご検討されてはいかがでしょうか。

No.1191 配偶者控除|国税庁

No.1180 扶養控除|国税庁

本日は、【父から子へ、母の控除(配偶者控除→扶養控除)を付け替えることはできる?できたなら得??】についてご説明いたしました。

 

【166】もご参考にご覧ください。

では、本日はこれまで。ほんまおおきに。

By.税理士サンタ🎅