税理士サンタ🎅です。
本日は、【副業300万円以下なら雑所得?改正についても解説!】について、お話しいたします。
税理士サンタ🎅の目次
- 副業300万円以下なら雑所得?
- 事業所得と雑所得の定義は?
- 事業所得と雑所得の違いは?
- 事業所得として認められるかどうか
- 改正案の概要(※修正前)
- 今日の本題!では、事業所得と雑所得の判断基準は?(改正の改正!)
- ☆現時点(令和6年1月20日時点)の、事業所得or雑所得 総合判断チェックリスト
- ☆では、副業が300万円以下で、事業所得として申告するにはどうすれば良いのか?
副業300万円以下なら雑所得?
【働き方改革実行計画】 を踏まえ、 国が副業や兼業を推奨していますが、副業が300万円以下の金額であれば、事業所得?雑所得?いったい何所得になるのでしょうか。
事業所得と雑所得の違いや、改正内容にも触れつつ、解説いたします。
今回の内容はかなり長いので、結論のみ知りたい方は、目次の下から2つの☆のみをご覧ください。
事業所得と雑所得の定義は?
まずは、事業所得と雑所得のそれぞれの定義を確認します。
事業所得とは
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
雑所得とは
対して、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、
例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。
定義は、こんなイメージで十分
定義だけでは、副業や兼業が、事業所得なのか雑所得なのか、判断し辛いですよね。。
- 事業所得は、仕事っぽいなぁ~って感じで、
- 雑所得は、それ以外って感じです。
定義の段階では、これで十分です。
続きて、事業所得と雑所得の違いを見ていきます。
事業所得と雑所得の違いは?
事業所得と雑所得の定義をみて
も、
- 事業所得は、名前の通り事業。。
- 雑所得は、それら以外。。
と、分かりにくいですよね。でも、実際には、
事業所得の方が雑所得よりも多々優遇されているので、
事業所得のメリットを以下簡単に記載します。
メリット1、青色申告特別控除を受けることができる。
事業所得のメリットの1つ目として、事業所得は、青色申告の特別控除を受けることができる点です。
事業所得の場合、青色申告の届け出をすることで、所得金額から
- 65万円
- 55万円
- 10万円
のいずれかを控除することができる、青色申告特別控除を適用することができます。
対して、雑所得には、青色申告の特別控除の適用はできません。
メリット2、損益通算ができる。
事業所得のメリットの2つ目としては、事業所得は、損益通算を受けることができます。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(損益通算の対象となる所得の範囲(1)から(4)記載の所得)についてのみ、
一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
簡単にお伝えすると、
たとえば、
給与所得と事業所得があり、事業所得がマイナスであれば、給与から天引きされた所得税を取り戻すことができます。
対して、雑所得がマイナスになったとしても、他の所得との損益通算はできません。
メリット3、家族へ給与が経費になる
事業所得のメリットの3つ目としては、
事業所得は、青色申告をしている場合は、青色事業専従者給与を必要経費にすることができます。(家族に対して給与を支払い、経費にできます)
また、事業所得で白色申告の場合は、
- 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円
- 配偶者でなければ専従者一人につき50万円
を上限として控除することができます。
対して、雑所得は、青色事業専従者給与や専従者控除の適用はできません。
メリット4、30万円未満の資産を一時の経費にすることができる。
事業所得のメリットの4つ目としては、事業所得は、青色申告の適用を受けている個人事業主は、少額減価償却資産を一括で経費化できます。
対して、雑所得は、この適用ができず資産計上となります。
メリット5、貸倒引当金の活用ができる。
事業所得のメリットの5つ目としては、
事業所得は、青色申告者の事業所得を生ずべき事業の遂行上生じた売掛金や未収入金、受取手形(割引や裏書譲渡をしたものを含みます。)、貸付金などの一定の貸金(イに該当するものを除きます。)について、
将来の貸倒れによる損失に備えるため、
一定の金額を貸倒引当金として必要経費にすることができます。
対して、雑所得は、貸倒引当金の必要経費は認められていません。
メリット6、損失額の繰越しと繰戻しができる。
事業所得のメリットの6つ目としては、
事業所得は、青色申告の適用を受ける個人事業主が、事業所得がマイナスになると、損失を繰り越すこともでき、または、前年納めた税金との相殺(繰戻し)により、還付を受けることもできます。
対して、雑所得は、損失が出たとしても、雑所得は0としてカウントされ、損失の繰越しや繰戻しはできません。
No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁
A1-4 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続|国税庁
事業所得として認められるかどうか
上述の事業所得のメリットをご覧いただくと、副業するなら、事業所得として申告したいと誰もが思いますよね?
では、どうすれば、事業所得として認められるのでしょうか。
事業所得と認められるかどうかは、
その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すると定められています。
事業と称する程度??
何て中途半端な。。と感じられた方は多いと思います。
そこで国税庁が、
所得税基本通達の制定について(法令解釈通達)
の一部改正案の意見公募の手続きを開始しました。
(令和4年8月1日)
改正案の概要(※修正前)
令和4年8月に、所得税基本通達を次のとおり改正し、雑所得の範囲が明確化されました。
こちらの改正案には修正が入っていますが、まずは、修正前について見ていきます。
ますは通達の文言を記載し、その下で、改正案(修正前)をまとめますので、簡単に理解されたい方は、【改正案(修正前)のまとめ】のみをご覧ください。
その他雑所得の範囲の明確化
その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいいます。)の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生ずる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生ずる所得及び山林の譲渡による所得を除きます。)が含まれることを明確化します。
業務に係る雑所得の範囲の明確化
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。
また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、
その所得を得るための活動が、
- 社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、
- その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。
改正案(修正前)のまとめ
雑所得は、
- 公的年金等に係る雑所得
- 業務に係る雑所得
- その他雑所得
の3つに分けることができ、その内、業務に係る雑所得と、事業所得の判断が、これまで明確化されていませんでした。
改正案の修正前の時点では、
収入金額(所得ではありません)が300万円を超えない場合、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うという内容でした。
しかしこれでは、
- 国が副業や兼業を勧めているにも関わらず、
- 税務メリットを即、取り上げることとなり、
- 副業や兼業をする方が減少し、ただの有口無行でしかないため、
7千件以上のパブリックコメントが殺到しました。
そこで、改正案に修正が入ることになりました。
今日の本題!では、事業所得と雑所得の判断基準は?(改正の改正!)
令和4年10月7日に、
「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
で、事業所得と雑所得についての判断が明確化されました。
雑所得は、
- 公的年金等に係る雑所得
- 業務に係る雑所得
- その他雑所得
の3つに分かれるという点は上述の通りですが、
- 業務に係る雑所得と、
- 事業所得
との判断基準が不十分であったため、その違いについて改めて明記されました。
まずは、通達の解説の文章を記載し、その下の☆でまとめます。まとめだけでも十分ご理解いただけると思います。
まずは、通達の解説について
業務に係る雑所得の例示と、事業所得との判断基準
本通達は、業務に係る雑所得に該当する所得を例示するとともに、
事業所得と認められるかどうかの判定についての考え方を明らかにしたものです。
事業的規模であるかどうか
事業所得と業務に係る雑所得については、
その所得を得るための活動の規模によって判定され、当該活動が
- 事業的規模である場合には事業所得に、
- 事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に
区分されるという関係にあります。
事業に該当するかどうか
本通達の(注)の前段では、
「事業所得と認められるかどうかは、
その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」という取扱いを明らかにしています。
最判昭和56年4月24日
この社会通念による判定について、最判昭和56年4月24日では、
「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と判示しています。
東京地判昭和48年7月18日
また、東京地判昭和48年7月18日では、「いわゆる事業にあたるかどうかは、結局、
一般社会通念によって決めるほかないが、これを決めるにあたっては
営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費した精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」と判示しています。
総合勘案が必要
したがって、その所得を得るための活動が事業に該当するかどうかについて、社会通念によって判定する場合には、上記判決に示された諸点を総合勘案して判定することとなります。
4、帳簿保存がなければ、概ね業務に係る雑所得、ただし、個別判断必要
本通達の(注)の後段では、「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、
業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。」としています。
事業所得と業務に係る雑所得の区分については、
上記の判例に基づき、社会通念で判定することが原則ですが、
- その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、
- かつ
- 記録した帳簿書類を保存している場合には、
その所得を得る活動について、一般的に、
- 営利性
- 継続性
- 企画遂行性を有し、
社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられます。
(注)
その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
その所得を得る活動に営利性が認められない場合
- その所得が例年赤字で、
- かつ、
- 赤字を解消するための取組を実施していない場合※は、
「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。
他方で、その所得に係る取引を帳簿に記録していない場合や記録していても保存していない場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難く、また、事業所得者に義務付けられた記帳や帳簿書類の保存が行われていない点を考慮すると、社会通念での判定において、原則として、事業所得に区分されないものと考えられます。
ただし、その所得を得るための活動が、収入金額300万円を超えるような規模で行っている場合には、
帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定せず、事業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱うこととしています。
(注)令和2年度の税制改正では、業務に係る雑所得について、前々年の収入金額が300万円を超える場合には、取引に関する書類の保存を義務付ける改正が行われたところです。
本通達の「収入金額300万円」については、上記の改正において、収入金額300万円以下の小規模な業務を行う方について、取引に関する書類の保存を求めないこととされたことを踏まえたものです。
☆現時点(令和6年1月20日時点)の、事業所得or雑所得 総合判断チェックリスト
現時点での、事業所得or雑所得 総合判断チェックリストを作成しました。
1、事業的規模であるかどうかを総合的に判断する必要がある。
①自己の計算と危険において、独立して営んでいるか。
つまり、収入に対する費用も負担し、仮に赤字になったとしても、自己が負担するか。
該当 →事業所得の可能性が高い。
非該当→雑所得 の可能性が高い。
②営利性、有償性を有しているか。
つまり、利益を得ることを目的としており、きちんと対価をもらっているか。
毎年赤字で、赤字を解消する取組をしていない場合、営利性なしに該当。
有している →事業所得の可能性が高い。
有していない→雑所得 の可能性が高い。
③反復継続させているか。
つまり、単発的なものではなく、取引を継続させているか。
該当 →事業所得の可能性が高い。
非該当→雑所得 の可能性が高い。
④社会的に、事業として認められているか。
つまり、本業が別であり、片手間で行っていることが明らかである場合、たとえば、サラリーマンをしていて、休日のみ利用して収入を得ている場合は、雑所得の可能性が高い。
⑤その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度はどの程度であるか。
こちらも上記④と同様で、本業とは別で、休日のみで収入を得る場合は、雑所得の可能性が高い。
⑥人的・物的設備はあるか。
つまり、従業員を採用したり、設備投資をしているか。
該当 →事業所得の可能性が高い。
非該当→雑所得 の可能性が高い。
⑦その他
取引の目的や、その者の職歴・社会的地位・生活状況なども検討すべき。
2、帳簿書類を記録・保存しているか。
あり→概ね事業所得。ただし、収入僅少、営利性なしなどの場合は、雑所得の可能性。
収入が僅少であるかどうかは、主たる収入の10%未満の場合、収入僅少に該当する。
なし→概ね雑所得。ただし、収入300万円以下は、雑所得。
☆では、副業が300万円以下で、事業所得として申告するにはどうすれば良いのか?
副業収入が300万円以下でも事業所得として申告した方が、税性上のメリットを受けることができるので、事業所得として申告したいですよね?
その場合は、
記帳と、帳簿書類の保存は必須で、上記のチェックリストで、事業所得になるように、1つずつ確認し、総合的に、事業所得であるとの体裁を整えてください。
その方が、所得を圧縮することができるため、節税になります。
節税のご提案は、あなたの決算内容に応じて個別にご提案いたします。
また、相続のご相談も承っています。
info@couple-cpa.com までご連絡ください。
Instagramでも情報配信しています。
https://instagram.com/boki.study?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA==
では、本日はこれまで。ほんまおおきに
By.税理士サンタ🎅