税理士サンタの節税ブログ

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【197】太陽光発電の売電収入について

税理士サンタ🎅です。

【太陽光発電の売電収入】について、お話しいたします。

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余剰売電とは

余剰電力の買取りは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、

太陽光発電による電気が太陽光発電設備が設置された施設等において消費された電気を上回る量の発電をした際、

その上回る部分が当該施設等に接続されている配電線に逆流し、これを一般送配電事業者等である電力会社が一定期間買い取ることとされているものです。

全量売電とは

個人が行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされています。

これを、全量売電といいます。

【給与所得者】自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売電収入

給与所得者が余剰売電をしたときの所得区分

 給与所得者である個人が、自宅に太陽光発電設備を設置し、いわゆる太陽光発電による固定価格買取制度に基づきその余剰電力を電力会社に売却している場合、

余剰電力の売却収入に係る所得区分は、雑所得として計算します。

給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。

給与所得者が全量売電をしたときの所得区分

給与所得者が全量売電を行っている場合の売電収入も、余剰売電のときと同様に、

それが事業として行われている場合を除き、雑所得に該当すると考えられます。

余剰売電の売却収入が事業所得に該当する場合とは

余剰電力の売却収入については、

  • それを事業として行っている場合や、
  • 他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合

には事業所得に該当すると考えられます。

減価償却費の計算について

減価償却費の計算上、太陽光発電設備は、太陽電池モジュール、パワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電等を行う自家発電設備であることから、

一般に「機械及び装置」に分類されると考えられますので、その耐用年数は、

減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「55 前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」の「主として金属製のもの」に該当し、

17年となります。

また、必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうち売却した電力量の占める割合業務用割合として計算した金額となります。

 

【事業所得者】自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入

所得区分

個人商店を営むAは、1階を店舗、2階を自宅とする建物に太陽光発電設備(以下「本件設備」といいます。)を設置し、

発電した電力を自宅及び店舗で使用するほか、いわゆる太陽光発電の固定価格買取制度に基づきその余剰電力を電力会社に売却しています。

電気使用量メーターは1つしか設置されておらず、

売却した電力量および売却金額は毎月の検針票により確認することができますが、

発電量のうち店舗や自宅がそれぞれいくら電力を使用したかについて把握することはできません。

この場合、余剰電力の売却収入に係る所得区分は、事業所得の付随収入となります。

本件の所得区分が事業所得である理由

本件設備により発電した電気は店舗自宅の両方で使用され、さらにその余剰部分を電力会社に売却するものです。

そのため、余剰電力の売却収入は、

  • 事業所得の付随収入、又は
  • 雑所得

のいずれかに該当すると考えられますが、

本件設備が店舗と自宅との兼用であるとしても、本件設備から発電される電力が現に事業所得を生ずべき業務の用に供されている限り、

本件設備は減価償却資産(事業用資産)に該当しますので(所得税法第2条第1項第19号)、

その資産からもたらされる収入については、全て事業所得の付随収入とするのが相当です。

必要経費に算入する減価償却費の額

必要経費に算入する減価償却費の額は、

発電量のうち、売却した電力量以外の割合を店舗と自宅における使用の実態に基づく使用率使用面積割合等の合理的な基準による店舗の使用割合により按分し、

その割合と発電量のうちの売却した電力量の割合の合計を事業用割合として計算することが考えられます。

具体例

年間発電量・・・10,000

売却電力量・・・ 2,000(20%)

合理的な基準による店舗の使用割合・・・70%

減価償却費の額を計算する場合の事業用割合・・・(100%-20%)× 70%+20%= 76%

賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入

余剰売電の場合の所得区分

不動産賃貸業を営む個人Aは、賃貸アパートの屋上に太陽光発電設備を設置し、

これにより発電した電力をその賃貸アパートの共用部分で使用し、その余剰電力を固定価格買取制度に基づき電力会社に売却しています。

この余剰電力の売却収入の所得区分は、不動産所得に係る収入金額に算入します。

  • 給与所得者が自宅に太陽光発電設備を設置し、その余剰電力による売却収入を得ている場合、その所得区分は一般に雑所得と解され、

また、

  • 事業所得者が事業所に当該設備を設置し売却収入を得ている場合、その所得区分は一般に事業所得(付随収入)と解されます。

ところで、賃貸アパートの共用部分で使用する電気料金は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるものです。

一方、本件の太陽光発電設備により発電された電力は、

賃貸アパートの共用部分に使用されるため、太陽光発電設備を設置することにより共用部分の電気料金は減少し、

その分不動産所得の金額の計算上必要経費に算入される金額も減少することになります。 

このように、太陽光発電設備による発電が不動産所得の金額について増減させるものであることを踏まえると、

その余剰電力の売却収入も不動産所得に係る収入金額に算入し、その所得金額を計算するのが相当と解されます。

全量売電の場合の所得区分

 個人が行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされています(全量売電)。

不動産賃貸業を行う個人が、賃貸不動産に太陽光発電設備を設置し、

全量売電を行っている場合の売電収入は、上記のような不動産所得との関連性が認められないことから、

それが事業として行われている場合を除き、雑所得に該当すると考えられます。

いわゆる営農型太陽光発電による余剰電力の売却収入

営農型太陽光発電とは

まず、営農型太陽光発電とは、営農を適切に継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置することにより、農業と発電を両立する仕組みをいいます。

所得区分

給与所得者である傍ら農業を営むAは、いわゆる営農型太陽光発電を導入することとし、

農業を営む農地について一時転用許可を取った上で、

ビニールハウスの上部に太陽光発電設備(以下「本件設備」といいます。)を設置して、

発電した電力をビニールハウス内の暖房等に使用するほか、

いわゆる太陽光発電の固定価格買取制度に基づきその余剰電力を電力会社に売却しています。

この場合、余剰電力の売却収入に係る所得区分は、事業所得の付随収入となります。

所得税法上、農業から生ずる所得は事業所得に分類されます(所得税法第27条第1項)。

本件の営農型太陽光発電とは、

発電事業を行う間、太陽光パネルの下部の農地で適切に営農を継続する必要があり、

設備の設置に当たっては、農地法に基づく一時転用許可が必要とされています。

したがって、この制度に基づき設置された本件設備は、

  • 農業で使用する電力需要を賄うことと、
  • その余剰電力の売却により継続的な収入を得ることにより、

農業経営を安定させる目的で設置されたものであると考えられます。

したがって、本件設備により発電された余剰電力の売却収入は、農業の付随収入として、事業所得に該当します。

減価償却費について

本件設備に係る減価償却費は、事業所得の計算上、必要経費とすることができます。

 

 

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では、本日はこれまで。ほんまおおきに

By.税理士サンタ🎅