税理士サンタの節税ブログ

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【205】災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

税理士サンタ🎅です。

【災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)】について、お話しいたします。f:id:couple-cpa:20240207090033j:image

雑損控除とは

災害または盗難もしくは横領によって、下記の

雑損控除の対象になる資産の要件

にあてはまる資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

雑損控除と、災害減免法による所得税の軽減免除は有利な方を選択できる

雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合は、

災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べます

災害減免法による所得税の軽減免除とは、

災害によって受けた住宅家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除きます。)が、

  • その時価の2分の1以上で、かつ、
  • 災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下のときにおいて、

その災害による損失額について雑損控除の適用を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるかまたは免除されます。f:id:couple-cpa:20240207085635j:image

ここでいう「所得金額の合計額」とは、

  • 所得税法第22条《課税標準》に規定する総所得金額(純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失および特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除後)
  • 分離課税の土地等に係る事業所得および雑所得の金額
  • 特別控除後の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、
  • 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額
  • 上場株式等に係る譲渡損失および特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除後の申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額
  • 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除後の申告分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額
  • 山林所得金額および退職所得金額の合計額(これらの所得の金額につき所得税法第69条《損益通算》の規定の適用がある場合には、その適用後の金額の合計額)

をいいます。

雑損控除の金額

雑損控除の金額は、次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額です。

(1) (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%

(2) (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

(注1)「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。

「損害金額」については、災害により被害を受けた住宅や家財、車両の損失額の「合理的な計算方法」で計算することができます。

また、損害を受けた資産が減価償却資産である場合には、その資産の取得価額から非業務用資産として計算した減価償却費累積額相当額を控除した金額を基礎として損害金額を計算することもできます。

 

(注2)「災害等関連支出の金額」とは、次のような支出をいいます。

① 災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など

② 盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など

(注3)「保険金等の額」とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額をいいます。

保険金等の額は、まず、損害金額から差し引き、保険金等の額が損害金額を超える場合には、災害(等)関連支出の金額から差し引きます。

(注4)「災害関連支出の金額」とは、上記(注2)①の金額をいいます。

雑損控除の対象になる資産の要件

損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること

(1)資産の所有者が次のいずれかであること。

イ 納税者

ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の方

(2)棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。

(注)「生活に通常必要でない資産」とは、例えば、別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいいます。

 

損害の原因

雑損控除を受けるには、その損害の要因は、次のいずれかの場合に限られます。

(1)震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害

(2)火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害

(3)害虫などの生物による異常な災害

(4)盗難

(5)横領

なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

申告等の方法

雑損控除を適用するには、

  • 確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、
  • 災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示してください。

なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間(東日本大震災又は令和5年4月1日以後に発生する特定非常災害により生じた損失額については、5年間)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。)。

(注)「特定非常災害」とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいいます。

また、給与所得のある方について、平成31年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

ただし、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署等へお越しになる際には忘れずにお持ちください。

 

雑損控除に該当するか具体的な考察

詐欺による損失

詐欺による損失は雑損控除の対象にはなりません。

雑損控除は、「災害又は盗難若しくは横領」により生じた損失を対象としますが、

「詐欺」による損失は対象となりません。

シロアリの駆除費用

シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、

  • 修繕に要した費用、及び
  • そのシロアリを駆除するための費用

は、雑損控除の対象となります。

なお、所得税法施行令第206条第1項第3号《雑損控除の対象となる雑損失の範囲等》に規定する

「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」とは、

切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、

その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいい(所得税基本通達70-11)、

  • シロアリの被害を事前に防止するための費用、及び
  • シロアリの駆除とともに行う予防のための費用

は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象となりません。

貸家の火災に伴い所有者が類焼者に支払う損害賠償金

前提

Aは貸家の貸付け(事業的規模ではありません。)を行っていましたが、

その貸家が原因不明の失火により焼失するとともに、近隣の10軒を類焼しました。

このため、Aは同貸家の所有者として責任を感じ入居していた賃借人とともに、

類焼者に対して損害賠償金として金銭を支給することとしました。

この損害賠償金は雑損控除の対象となりますか。

答え

本件の損害賠償金については、災害に直接関連して支出した金額として雑損控除の対象として差し支えありません。

なお、雑損控除の対象としないで、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することもできます(所得税基本通達72-1)。

使用貸借させている住宅の損失

Aは、相続により取得した住宅を生計を一にしていない姉Bに無償で貸与していたところ、その住宅の一部が地震により損壊しました。 この場合の住宅の損失については、雑損控除の対象となりますか。

【回答要旨】 Aと生計を一にしていない姉Bが居住しているA所有の住宅であっても、

Aが保養等の目的で所有しているものでない限り、雑損控除の対象となる資産に該当します。

侵奪された不動産を取り戻すための費用

前提

地面師グループは、Aが所有する土地(空地)の権利証及び委任状を偽造して、その土地を善意の第三者Bに転売しました。

これにより登記名義がBとなっていることを知ったAは、登記抹消を求める民事訴訟を提訴し、登記名義を回復することができました。

この訴訟のために支払った印紙代、弁護士費用等の訴訟費用は雑損控除の対象となりますか。

答え

本件の訴訟費用等は雑損控除の対象とされます。

不動産の侵奪とは、不動産に対する他人の占有を排除して自己又は第三者の占有を設定する行為であり、窃盗の一種とされています。

 

 

 

 

 

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では、本日はこれまで。ほんまおおきに

By.税理士サンタ🎅