税理士サンタの節税ブログ

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【118】交際費の税制改正、意味はあるのか?

【節税@税理士】改め、税理士サンタ🎅です。

本日は、【交際費の税制改正、意味はあるのか?】について、お話しいたします。f:id:couple-cpa:20231206115148j:image

税理士サンタ🎅の目次

【交際費の税制改正、意味はあるのか?】

交際費の改正の内容について

交際費の改正の内容は、

  • これまで : 接待飲食費は、1人当たり5,000円以下は、損金算入できた。
  • 改正         : 接待飲食費は、1人当たり10,000円以下は、損金算入できる。

これだけを見ると、

飲食店の利用が促進されていいじゃ~ん!!

って感じられるかもしれませんが、税理士的には、甚だ疑問です。。

以下、元々の交際費の税制についても触れながら、その理由について解説したいと思います。

交際費の税制について

交際費の税制は、

  1. 期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人は、800万円までは損金算入※
  2. 1人当たり5,000円以下の接待飲食費損金算入
  3. 1人当たり5,000円超の接待飲食費×50%損金算入

と定められています。

なお、資本金1億円以下の中小法人の場合は、1と3は有利判定となっています。

資本金1億円以下の中小法人の場合は、接待飲食費が1,600万円以上であれば、3を使った方が得ですが、

中小法人でそんなに交際費を使うことができる法人はほとんどないと思います。

※800万円にその事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額(以下「定額控除限度額」といいます。)に達するまでの金額は、損金算入

損金算入できる交際費の金額

上記の【交際費の税制について】を元に、具体的に損金算入できる交際費の金額を計算してみます。

具体例1

  • 資本金1億円以下の中小法人
  • 交際費150万円
  • 別途、1人当たり5,000円以下の接待飲食費100万円
  • 別途、1人当たり5,000円超の接待飲食費150万円

150万円+100万円+150万円=400万円

が損金算入できます。つまり、全額損金算入できます。

具体例2

  • 資本金1億円の中小法人
  • 交際費800万円
  • 別途、1人当たり5,000円以下の接待飲食費100万円
  • 別途、1人当たり5,000円超の接待飲食費150万円

800万円+100万円=900万円

が損金算入でき、150万円が損金不算入となります。 

具体例3

  • 資本金10億円
  • 交際費800万円
  • 別途、1人当たり5,000円以下の接待飲食費100万円
  • 別途、1人当たり5,000円超の接待飲食費150万円

100万円+150万円×1/2=175万円

が損金算入でき、800万円+150万円×1/2=875万円が損金不算入となります。

統計データから読み解く

政府統計の総合窓口 e-statさんの情報によると、

資本金1億円以下の法人で、

  • 交際費の額は、2,966,230百万円
  • 損金算入された交際費の額は、2,664,107百万円
  • 損金不算入となった交際費の額は、301,936百万円

資本金1億円超の法人

  • 交際費の額は、630,451百万円
  • 損金算入された交際費の額は、117,608百万円
  • 損金不算入となった交際費の額は、512,806百万円

だそうです。

つまり、損金不算入となっている交際費は、

資本金1億円以下の法人では、301,936百万円

資本金1億円超の法人では、512,806百万円

ありますので、この枠が縮小され、損金算入できる額が増えるのであれば、今回の税制改正効果はありそうです。しかし。。

ほとんどの中小企業には無関係の税制改正

全企業に占める中小企業の割合は、99.7%です。(中小機構のHPより)。f:id:couple-cpa:20231206171831j:image

では、中小企業における交際費の金額は、何円ぐらいだと思いますか?

多い方で、300~400万円です。

上記の具体例1では、改正前でも全額が損金算入できています。

また、上述の交際費の額2,966,230百万円÷中小企業数3,578,176件=828,978円

この金額が、中小企業の交際費の平均値です。

交際費を800万円使える中小企業は、ほとんどいないことがお分かりいただけると思います。

つまり、ほとんどの中小企業では、1人当たり5,000円以下が、1万円以下になったとしても何も優遇されません。  

誰にとってメリットがあるのか?

では、この税制改正は、誰にとってメリットがあるのでしょうか?

  • 大企業→メリットが大きいです。
  • 大企業が周りにたくさんある飲食店→メリットが大きいです。
  • 中小企業が周りにたくさんある飲食店→メリットはほとんどありませんが、得だと勘違いをされた中小企業の経営者が利用頻度を増やされる可能性はあります。

この改正は、飲食店を盛り上げるための改正として考えているのであれば、異議を呈します。

なぜなら、今回の改正は、全体の0.3%である大企業に優遇される税制改正だからです。

  • 全体の0.3%の大企業が優遇され、
  • 全体の0.3%の大企業がよく利用される飲食店も優遇されますが、
  • 全体の99.7%の中小企業の大半は全く関係なく、
  • 全体の99.7%の中小企業の大半が利用される飲食店にも、もちろん何ら影響はありません。

この改正は、飲食店を盛り上げるための税制改正ではなく、大企業を優遇するための税制改正です。

飲食店を盛り上げるためというのであれば、

全体の99.7%の中小企業にとってもメリットを出せるように、

接待飲食費については、支払った金額の1.1倍の損金算入ができる

などの改正にしないと、一部の飲食店しか効果がありません。

税制改正に、申告業務に携わっている実務化をより

導入してもらいたいものです。

 

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では、本日はこれまで。ほんまおおきに。

By.【節税@税理士】改め、税理士サンタ🎅